S&W Jフレームスクエアバットグリップ
長らくトイガンのカスタマイズをしていますが、良いグリップが手に入ったので、これに合うものを作ってという依頼が結構あります。
今回は、S&WのJフレームのスクエアバットのダイヤチェッカーグリップが手に入ったということでご依頼いただきました。これに合うようにタナカのM36をベースにカスタマイズ&ブルーイングすることになりました。
ご存知だと思いますが、HW樹脂はABS樹脂と違って溶着することができません。溶かすことができれば接着後も同じHW樹脂なので、ブルーイングも可能でしょうが個人が入手可能な溶剤では難しいです。そこで、瞬間接着剤やパテを使用することになりますが、今度は接着した部分はブルーイングができません。ブルーイングできた部分とできない部分の境目が見えてしまうため塗装仕上げが前提となります。
ただ、今回は良い状態のグリップであったため、何とかブルーイングで仕上げられないかということで製作に取り掛かることにしました。
グリップとフレームの形状を合わせる
接着は後回し。まずは形状合わせです。
スクエアバットとラウンドバットは形状の違いだけかと思っていました。
ところがモデルガンのフレームにグリップをあてがってみると、形状だけではなく長さも違うんですね。単純に切って曲げて繋げばよいかと思っていましたが、継ぎ足さなくてはいけません。
そこで修正方法を整理しました。
1. フレームを切断
2. 継ぎ足すHW樹脂材料の切出し
3. 熱して曲げる
4. 隙間を埋める
この方法で行きたいと思います。
結果として4工程ですが、実際は試行錯誤しつつなので、もっと手がかかっています。
ラウンドバット→スクエアバットに
まずは、フレームを切り出します。
その後、大まかに熱して形状を修正していきます。
ABS樹脂であれば、ドライヤーであぶると柔らかくなって曲がるのですが、HW樹脂は柔軟性がなく、熱したからと無理に曲げるとポキッと折れてしまいます。
今回はドライヤーでは力不足でしたので、ヒートガンを使いました。
ヒートガンは温度が上がりやすいですが、近づけすぎたり、熱しすぎると中の樹脂が沸いて気泡になってします。
これらのことに気を付けて慎重に曲げて、熱っしてを繰り返します。
と書いていますが、実は一度フレームをポキッと折ってしまっています。
とにかく慎重に無理しないことが重要です。
だいたい形を整えたら、寸足らずな部分にHW樹脂を継ぎ足します。
瞬間接着剤を使用してがっちり接着します。
こうしてだいたいの形状が修正できました。
左のラウンドバットと比べると幾分大きく感じます。
さて、次は隙間をなんちゃって「スピンウェルディング」工法で埋めていきます。
文字通り「スピン」=回転、「ウェルディング」=盛り付けです。
まずは継ぎ目を三角刀で溝を切ります。
少しでも溶着面積を増やすためです。
次はHW樹脂を細く切り出し乾麺の蕎麦くらいの太さに切り出します。
これをリューターに取り付け、隙間の上で高速回転させ埋めていきます。
そうすると母材と回転する充填材が熱で溶けて溶着するという寸法です。
ただ、回転を制御することが難しく関係のないところを傷つけたりしてしまうので、成功したのはバックストラップ側のみ。
前面部分は瞬間接着剤とHW樹脂の削り粉を混ぜ合わせたものを使用します。
境目が少し見えますが、こちらの方がコントロールしやすいですね。
なんとも不完全ですが、今できるベストな方法で加工しました。仮に染めたときの写真です。
ブルーイング完成
通常のラウンドバットよりグリップが長いうえに角ばっているので、コルトディテクティブのようにクラシカルな銃に見えます。
フレームラグはいつも通り別パーツにて製作。刻印も細かいところですが、拡大してみください。Sの真ん中とWの左の線の真ん中に〇がありません。これもアーリータイプM36の実銃に合わせました。
こちらも細かいところですが、ハンマーノーズの形状も手を加えています。
こんな風に。右がタナカ、左が形状を修正したものです。ほんの少し長さを詰めて、それっぽく修正しております。
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