ワルサーPPK(70年代)を作る。

マルシンPPKのモデルガンを仕上げます。
素材はHW樹脂モデルですので、ブルーイングも可能ですが、今回は塗装にて仕上げることになりました。
主なカスタマイズ内容は、次のとおりです。
  • リアサイト別パーツ化
  • 刻印
  • 塗装(金属パーツはブルーイング)
マルシンのPPKは完成度も高く、刻印もリアルです。
そのまま、ブルーイングして比較的短期間で仕上げることも可能ですが、ご依頼者の意向もあり、凝って仕上げたいと思います。


リアサイトを削る

まずは、リアサイトを削り出します。 
マルシンのPPシリーズは、リアサイトは固定式です。 
あまり目立たないのでこのままでもよいのですが、実銃同様別パーツ化して可動式にしたいと思います。 
まずはジャンクのスライドからリアサイトを移植する方法を試みます。
今回のリアサイトは横から見ると台形になるような形状にする予定です。
ところがマルシンのはどちらかというと真四角な形状をしています。
切り出してから台形に削ればいいだろうと思っていたのですが、今度は真上から見たときの形状が破綻していしまいます。
あきらめて最初から削り出すことにしました。
ドナーになったのはPPK/Sのフレーム。
ここからリアサイトを削り出すのに必要な量のHW樹脂を切り出します。
これを刻印機にセットして、平行カッターで直方体を削り出します。

そのあとは内側に溝を彫っていきます。
ここまでは機械で彫りました。
この後は手作業です。
台形に削ります。

完成です。手前が別パーツ化したもの、奥がマルシンオリジナルです。

アリ溝を切っていますので、横方向のみ稼働させることが可能です。

上がマルシンオリジナル。下が別パーツ化したもの。

刻印は70年代を再現

今回のPPKは、70年代のモデルを再現するということで、刻印データを依頼者様にて作成されておりました。
これをうちの刻印機に合うように調整を繰り返します。
当時のドイツはまだ統一前。
ワルサーのバナーの下の「W.Germany」の文字が特徴的です。 
3回試し彫りをしてから、本番です。

エジェクションポート側は、スライドとフレームのシリアルナンバーのフォントが違いますが、これは実銃も同じ。
塗装で仕上げのため、余分な刻印は瞬間接着剤で埋めています。


塗装

まずは、インディのパーカーシールで塗ります。
スプレー缶のままでは細かいところが塗りにくいです。
トイガン用の塗料は高価です。
周りに飛び散る塗料ももったいないので、瓶に塗料を移してエアブラシで塗っていきます。

塗装は塗りっぱなしではなく研磨して仕上げます。
スライドのエッジや刻印部分は剥げやすいので、しっかり何層も塗り重ねます。
ただそうすると、刻印部分が埋まってしまいますので、やや太めに彫っています。
ブルーイングだとそんな配慮は不要ですが、塗装は塗装にあった配慮が必要です。

パーカーシールで塗った後はタミヤのコンパウンドでポリッシュします。
続いてメタルパーカーで上塗りします。
メタルパーカーはサラサラの塗料で、塗料の粒子が沸きやすいので、一度にべた塗りしない方がよいです。
上の写真は少しムラになっていますが、何層も塗り重ねますので、リカバリできました。

リアサイトには実銃ではホワイトが入っています。
ホワイト=白を塗ってしまうとコントラストが付きすぎてしまいますので、少し(本当に少し)イエローを混ぜてやや黄味がかったホワイトを溝へ盛ります。
ここでラッカー塗料を使用してしまうと、下地の塗料が溶け出し水色になってします。
下地を侵さない水性塗料を使用します。

さていよいよ完成です。

70年代ワルサーPPK完成!

パーカーシールとメタルパーカーの組み合わせは、いつも期待を裏切らない仕上がりになります。
光沢を出そうとすると磨きすぎ下地が出てきてしまうなど、コントロールが難しいところもありますが、そんな苦労を補って余るほどの仕上がりになります。マルシンの刻印はイタリック体ですが、このPPKは通常の文字です。
これもかなり印象が違ってくると思います。
フレームのテール部分は、依頼者の手によって形状修正されています。
トリガー、セフティ、ハンマーなどの金属パーツはブルーイングで仕上げています。
塗装で仕上げてもよいのですが、エッジを立てた金属パーツは塗料の食いつきが弱く、ミッチャクロン等のプライマーを吹いても剥げてしまいます。
うちの塗装はブルーイングと色調を合わせていますので、小さいパーツでしたら、チャンポン仕上げでもそれほど違和感はありません。
バレルはパーカーシールのみで仕上げました。
パーカーシールは擦れると金属光沢が得られるため、唯一塗りっぱなしにしています。
リアサイトのホワイトもちょうどよい色合いになりました。
マルシンのものと形状はほとんど変わりません。
しかし、我々モデルガンファンにとって、別パーツ化されているということが重要なのです!
エジェクションポートも依頼者の方のによって薄いステンレス板が張られています。
実はこのカスタマイズが全体を一番引き締めているような気がします。
ステンレス板にはダイヤモンドカッターにてプルーフマークを入れています。
マルシンPPKはキットもありますし、モデルガンの中でも手に入れやすいモデルです。
そのまま組んでも楽しめますが、実銃自体が非常に息の長いモデルということもあり、刻印のバリエーションなどきわめて奥の深いモデルガンだと実感しました。

4 件のコメント :

  1. はじめまして。ビンセントさんご自身の持ち物かと思い込んでおりましたが、依頼者さま有りの製作だったんですね。依頼者さまご自身の細部修正もそうですが本当に素晴らしい出来です。ため息しか出ません。

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    1. バンデラスさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
      自分のものとなると手を抜いてしまいがちで。。。
      依頼されたものの方が気合が入ります(^^;)
      チャンバーカバーだけでかなり雰囲気が良くなりますね。
      現在の日本のトイガンではあまり見かけないタイプですから、その点もカスタムモデルガンとしての差別化が図れていると思います。

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  2. 相変わらず素晴らしい出来ですね。チャンバーカバーのような局面への彫刻も見事です。

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    1. DADGADさん。こんにちは。コメントありがとうございます。
      曲面への刻印は結構難しいのです。
      位置決めと、高さ調整で結構神経を使います。
      これくらいの小さい文字だと打刻のムラといって逃げられます(もちろんそんな言い訳はしませんが)。
      でも、たとえばパイソンのバレルのような大きな文字を彫るときはかなりシビアになります。
      これまでは実際に浅く彫って位置を合わせたりもしていましたが、最近は無傷で位置合わせできる方法をようやく確立できました。
      それでも彫るときは緊張するんですけどね。

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