コクサイパイソン8インチ改パイソンハンターー下地処理の巻ー

 コクサイパイソン8インチ改「パイソンハンター」


現行製品のモデルガンのブルーイング等の作業依頼を受けることが多いですが、往年のモデルガンのレストアのご依頼も請け負う事もあります。
今回はコクサイのパイソン8インチのレストアということでご依頼いただきました。

「リボルバーのコクサイ」と広告文句にありましたが、コクサイの全盛期は私は高校生くらいでしたでしょうか。
お金がありませんから、マルシンの組み立てキットを買うのが精一杯で、コクサイのクオリティはリアルタイムで体験することができませんでした。

そんなコクサイも今はなく、パイソンといえばタナカ製一択となります。
タナカのパイソンといえばR modelで動作もピカイチ、おまけに綺麗にブルーイングができます。
ただ、8インチとなるとラインナップにはなく、これはコクサイしかありません。
(昔はLSとかマルイもありました。今はクラウンのエアガンでドットサイト付きがあったようですね。)

コクサイパイソン8インチを眺める

それでは素材を見てみましょう.
PYTHON357の文字がありますが、刻印位置がバレルの根元に寄っていますね。
こちら側も寄っています。

ご依頼主の見立てでは6インチに継ぎ足しているのではとのことでした。
ビンゴですね!皮膜を剥いてみると案の定継ぎ足した跡が見えます。
仕上がりは綺麗ですから、メーカーにてされたのだと思います。

ただ、このままでは刻印の位置に違和感がありますので、ずらして再刻印することにします。
製作にあたりアクセサリーとしてスコープもご提供いただきました.


お察しが良い方はお分かりかと思いますが、これで実銃の世界では、ハンティング用の限定生産リボルバー「パイソンハンター」を制作することとなりました.

資料したのは、Gun誌1981年3月号です。


バレルに刻印

うちの刻印機は曲面に刻印することはできますが、パイソンのように曲面の天地に高さがある刻印は、刻印の上下が深く彫れまず、薄くなってしまいます。
そこで今回はレーザー刻印器で刻印することができました。
厳密にはレーザーの焦点がズレますが、パイソンのバレルくらいの大きな刻印だと気にならないくらにになります。

まずは黒い画用紙に試し焼き。


樹脂の硬さに泣かされる

最近のHW樹脂は、亜鉛合金の粉末が含まれていますが、この頃のコクサイの樹脂には鉄かステンレスの大きな粉末(というか破片)が入っています。
この金属粉が硬い。なのに樹脂は柔らかいので研磨すると削れないわ、傷が残るわでかなり時間がかかってしまいました。
元の刻印は瞬着で埋めて下地を整えてから、レーザーで刻印完了です。

金属パーツの硬さに泣かされる

硬いのは樹脂だけではありません。
金属パーツも、最近のものにはない硬さです。
鉄でできているわけではありませんが、亜鉛合金に分厚い銅メッキ、その上にクロームメッキが施されています。
紙やすりでは歯が立たず、ダイヤモンドやすりでガシガシ削ります。
今回は樹脂部分は塗装ですが、金属パーツはブルーイングで仕上げるため、しっかり皮膜を削り取り、亜鉛合金の地肌を露出させます。
下の写真は研磨途中ですが、ハンマースパーなどに銅メッキが露出しているのが分かると思います。
トリガーは作業前です。


結構、大仕事だったので下地処理はこの辺にて。
次はグリップのレストアです。













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