ワルサーPP極初期タイプ(1)セフティ可動域を広げる

手元に旭工房製のワルサーPPがあります。
フロントサイト、リアサイトが作り替えられ、スライドの平面部分の天地サイズが縮められ、フレーム後部のシルエットも戦前のタイプに合わせて修正されています。
マガジンボトムもフラットになるように、パーツが新規製作されています。
パッと見た感じではわかりませんが、細部に手が加わっており、旭工房のこだわりを感じられるカスタマイズが施されています。
今回はこの価値あるベース銃をもとに、さらなるカスタマイズを加えていこうと思います。

今回、このPPを製作することになったのは、私が過去に製作したものと同じものを作れないかという閲覧者からの問い合わせがあったからです。
マルシン製ワルサーPP(1)~セフティレバー~ 
マルシン製ワルサーPP(2)~ハンマー~ 
マルシン製ワルサーPP(3)前期型刻印・ブルーイング完了 

10年ほど前ですので、何をどうしたかすっかり忘れています。
リストアップしてみました。
・刻印の打ち直し
・バレルの延長
・セフティレバーの拡張

ただ、今回用意できたものは、スライド天地幅、フロントサイト、リアサイト、フレームの加工はされているものでしたが、セフティレバーの稼働域が通常の60度のタイプでした。
同じものを製作するには、まずセフティレバーの可動域を広げる加工が必要でした。

まずはテストです。
発火しまくったジャンクのPPK/Sのスライドで事前にテストしました。
データを作成して刻印機で可動域を広げます。



単に可動域を広げただけでは、60度の位置にあるレッドポイントはそのまま残ってしまいます。
瞬間接着剤で埋めればよいのですが、今回はブルーイングで仕上げる必要がありましたので、このレッドポイントも掘り下げました。

上の写真は一見成功しているように見えます。

角度を変えてみると可動域が深くなり、レバーがスカスカです。

そこで掘り下げた部分に蓋をすることにしました。
蓋でかさ上げして削った部分を埋めます。

セフティ可動域を掘り下げたデータを用いて、HW樹脂から蓋を削り出します。
ここでもジャンクのPPK/Sのスライドから、所望のサイズに切り出します。
これをまた彫刻機で削って薄板を作成します。
この薄板を掘り下げた可動域に合うようにさらに削り出し、最後に90度の位置にレッドポイント部分のくぼみをつけます。

蓋が完成しました。


スライドに接着剤を塗り蓋を接着します。

硬化後、セフティレバーが入るよう円形に削りスライドの加工は完成です。次はセフティレバーの製作を紹介します。










1 件のコメント :

  1. 相変わらず、素晴らしいですね。完成品はもとより、こうした加工工程に痺れます。

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